学童保育・児童クラブの新設サポート

児童の健全育成

児童の安全確保

男女共同参画社会の実現に向けて

学童保育・放課後児童クラブ(放課後児童健全育成事業)とは、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後(いわゆる放課後)や長期休業日(夏休み等)において、小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全育成を図る事業です。この学童保育・放課後児童クラブが各地で整備されていくことは、父親母親問わず、保護者の就労の選択肢が広がることにもつながり、男女共同参画社会の実現に向けた重要な社会的インフラのひとつでもあります。

児童の健全育成、安全確保、そして男女共同参画社会の実現をさらに推し進めるため、未設置であった静岡市某地区における学童保育・放課後児童クラブの新設に向けてのサポートをしてきました。2003年からの取組みであり、当地域の友人であるSさんとご一緒させていただきました。ゼミの活動としては、今回の活動の経過を適宜確認していくことで、子どもの安全確保も願った社会的インフラ整備の方法論を、学生にも学んでいってもらう時間を設けていきました。

 

ニーズ調査

学区に位置する保育園を利用する保護者の方々を対象に、アンケート調査を行い、子どもが小学校に入学したときの児童クラブの利用希望者がどの程度いるのかを明らかにしました。利用のニーズが年々高くなることが予想されるデータが得られました。調査にあたっては、地域の友人であるSさんと共に「●●学区に学童保育の設置を市へ要望するための準備を行う父母の会」を立ち上げ、活動を展開していきました。

 

静岡市長への「要望書」の提出

ニーズ調査のデータと共に、「●●小学校学区に児童クラブの設置を求める要望書」を静岡市長:小嶋善吉様に提出しました(担当課;児童福祉課)。この要望書は、町内会会長様、学区小学校保護者代表様、学区保育園保護者代表様、●●学区に学童保育の設置を市へ要望するための準備を行う父母の会の連名での提出となりました。地域のステークホルダーの方々と協働しての取組みとなりました。

要望書の文面においては、単なる「要望」というものではなく、住みやすい街づくり、暮らしやすい街づくり、子どもの安全を確保できる街づくりを、市の担当課と一緒に創り上げていきたいというメッセージを加えていきました。

担当課からの照会 1

その後の担当課のやり取りのなかで、「もし、学区に児童クラブが設置された場合、保護者や地域の方々は、どのような形でその児童クラブの運営を応援してくれますか?もし、具体的な意向やそのデータがあればお示しください」という照会がありました。

こちらとしても、「行政と保護者・地域との協力によって児童クラブを盛り上げていくことが大切」と考えており、子どもが安全に児童クラブで過ごすことができ、地域住民との触れ合いも含めた健全育成の場にしたいという思いからの設置依頼をしてきましたので、「児童クラブが出来たときの保護者・住民によるボランティア活動案」を立案し、その計画を担当課へ提出しました。活動案の作成には、46人の保護者・住民からご理解とご協力をいただきました。以下は、照会に対する回答報告書となります。

担当課からの照会 2

さらにその後の担当課のやり取りのなかで、「児童クラブの設置を求めている保護者の就労実態を知りたい」という照会がありました。至急地域でのアンケート調査を行い、その調査時点(2004.9)では、児童クラブの設置を求めている72世帯の全世帯(100%)に就労実態及び就労希望実態が明らかとなり、そのデータを担当課へ回答しました。

 

児童クラブの新規の設置の決定

その後、担当課のご理解、また地域選出の市議会議員様のご支援をいただき、幸いなことに、学区における児童クラブの新規の設置が議会で認められました。多くの方々のご厚情によるものと、本当にありがたく感じました。

設置については、最初は小学校の空き教室の改修による学校内併設型の児童クラブの開設となりました。時期を置き、別棟の建築が行われ、当学区の児童クラブは更に発展することになりました。

住民・保護者ニーズを丁寧に行政に伝えていくこと、地域の方々、ステークホルダーと十分な話し合いをもち協働的に活動を展開することの重要性を、この活動で学ばせていただきました。

子どもの居場所づくり、安全の確保、また子育てしやすい社会環境づくりが、これからも推進されることを願います。上記の一例が、今後の児童クラブの新規設置のための参考となることがあれば嬉しく思いますし、今後、子育てを体験する可能性のある学生の方々にも、行政に働きかける方法論を学んでいただきたく、当時のこの取組みをリアルタイムで説明・解説した次第です。若い方々にこそ、積極的に「住みやすい町、安全な町の実現に寄与する社会環境づくり」に取り組んでいただけたらと思います。

繰り返しになりますが、子育て、子どもの安全確保に関する社会的インフラの整備は、一人だけの力で実現するものではありません。今回の赤田の関与も、自分の専門性を最大限発揮してきましたが、それは児童クラブ設置までの全体の活動のほんの一部でしかありません。最後になりましたが、本活動を精力的にリードされていたSさんに敬意を表します。

当時は何度も市役所に通いました。